01:キノピコ


※この話は2014年3月に書いたものです。それを踏まえた上でお楽しみ下さい。

ドクターマリオ
「今日から『ドクタールイージ診療所』スタートだ! しっかりやるんだぞ、ルイージ!」

ドクタールイージ
「いやいやいや! 突然すぎてワケが分からないよ! どうしてボクが医者をやらなくちゃならないのさ!?」

ドクターマリオ
「どうしてって……そういう企画なんだから仕方ないだろう?」

ドクタールイージ
「これ、企画なの!?」

ドクターマリオ
「あ、そうそう、オマエにピッタリのナースを呼んでおいたよ」

ドクタールイージ
「え? それって……」

ナースデイジー
「もちろんわたしよ!」

ドクタールイージ
「うわっ! い、いつの間に?」

ナースデイジー
「ちょうど今来たところなのよ。間に合って良かったわ~」

ドクタールイージ
「ナース服まで着ているとは……やる気満々なんだね……」

ドクターマリオ
「さて、2人揃ったことだし、後は任せたよ!」

ドクタールイージ
「えっ!? 兄さん、手伝ってくれるんじゃないの!?」

ドクターマリオ
「ボクの役目は2人をここに呼ぶことだけさ。それじゃ!」←退散

ドクタールイージ
「………………じゃあ何で医者の格好してるんだよ!!」

ナースデイジー
「姿が見えなくなったところで言っても意味ないわよ、ルイージ」

 

 

 

 

 

ドクタールイージ
「しょうがない……気持ちを切り替えて仕事に臨もうか……」

ナースデイジー
「よーし、張り切っていくわよー! ……ところで、ナースって何をすれば良いのかしら?」

ドクタールイージ
「(……早くも不安でしかないよ、兄さん……!)」

???
「あのー……スミマセーン……」

ナースデイジー
「あっ、さっそく来たわよ!」

ドクタールイージ
「はい、どうぞー……って、あれ? キノピコじゃないか。どうしたんだい?」

キノピコ
「実は……どうも夜眠れなくて……」

ナースデイジー
「不眠症かしら? だったら睡眠薬を――――」

ドクタールイージ
「待った! どうして眠れなくなったのか、その原因が分からなきゃ根本的な解決にはならないよ。まずは原因を突き止めないと」

ナースデイジー
「あ、それもそうね……さすがルイージ! まるで医者みたいね!」

ドクタールイージ
「(医者みたいも何も、医者なんだけど……)それでキノピコ、眠れなくなった原因に何か心当たりはない?」

キノピコ
「えっと……やっぱりストレスが溜まっているからでしょうか……」

ナースデイジー
「ストレス? 仕事か何かの?」

キノピコ
「いえ、その……実はわたし、ここ数年出番がないことにストレスを感じていまして……」

ドクタールイージ、ナースデイジー
「「え」」

キノピコ
「……お二方はわたしが最後に出たのがいつだったか覚えています……?」

ドクタールイージ
「え、えぇっと……確か、『マリオカートWii』……だったっけ?」

ナースデイジー
「その後も出てなかった? ほら、みんなで野球をしていた時に……」

ドクタールイージ
「あぁ、そうだ! 『ファミリーベースボール』にも出てたんだった! えーと、その後は……」

ナースデイジー
「……出てないわね……」

キノピコ
「はい……かれこれ6年近く出てないんです。
 『マリオカート7』では予想外の人が参戦することになったせいでリストラされちゃいましたし……」

ドクタールイージ
「(……それ、どっちかというとワルイージの方が外された理由として大きいような……)」

キノピコ
『マリオパーティ9』だって、プレイヤーキャラから外された人たちの中で何故かわたしだけ出番がないんですよ!?
 せめて案内役でも良いから出たかったです……」

ドクタールイージ
「(案内役は色違いのキノピオたちだったもんなぁ……)」

 

 

 

 

 

ワルイージ
「ヘェックシュン!!」

ワリオ
「何だ、花粉症か?」

ワルイージ
「そういや、もうそんな時期だっけか……気をつけねーとな……」

 

 

 

 

 

キノピオ
「……クシュン!」

ピーチ姫
「あら、風邪?」

キノピオ
「……いえ、多分花粉症かと」

ピーチ姫
「そういえば、もうそんな時期なのね……外出する時はマスクをしておかないとね」

キノピオ
「そうですね」

 

 

 

 

 

キノピコ
「とにかくわたし、どうして出番を与えられなくなったんだろうと思っているうちに、だんだん眠れなくなってしまって……」

ドクタールイージ
「……で、今に至ると?」

キノピコ
「……はい」

ナースデイジー
「……それ、出番がなくなってからずっと気にしていたの?」

キノピコ
「いえ、最初はそこまで気にしてなかったんですけど、眠れなくなったと自覚してからは……」

ドクタールイージ
「自覚し始めたのはいつから?」

キノピコ
「……先ほど述べた2作が出た頃にです」

ドクタールイージ
「ふんふん……って、2年前から!? どうしてそんなに長いこと放置していたのさ!?」

キノピコ
「そ、その……出番がなくなったせいで眠れなくなった……なんて言うのが恥ずかしくて……」

ドクタールイージ
「(……まぁ、その気持ちは分からなくもないけど……)でも、それならどうして今になって診察を受ける気になったんだい?」

キノピコ
「……ルイージさんなら親身になって相談に乗ってくれるかなぁと思いまして……」

ドクタールイージ
「え」

キノピコ
「ほ、ほら、ルイージさんだって暗黒期と呼べるような時期があったじゃないですか」

ドクタールイージ
「あ、暗黒期って……(確かにそんな時期はあったけどさ……)」

ナースデイジー
「ねぇルイージ、暗黒期って何のこと?」

ドクタールイージ
「……その話は聞かないでもらえるかな」

キノピコ
「そ、それと、もう1つ理由があるんです!」

ドクタールイージ
「もう1つ? それっていったい?」

キノピコ
「あの……今年の5月に『マリオカート8』が出ることはご存知ですよね?」

ドクタールイージ
「もちろん知っているけど……あっ! ひょっとして?」

キノピコ
「はい! わたし……そのレースに参戦することが決まったんです!」

ナースデイジー
「本当!? 良かったじゃない!」

キノピコ
「はい! 参戦が決まったと知った時は嬉しくて嬉しくて! ……でも、それと同時に不安になりまして……」

ナースデイジー
「え? どうして?」

ドクタールイージ
「……あ、分かった。不眠症のことだね?」

キノピコ
「はい……さすがにこのままじゃレースに支障が出ると思って……」

ナースデイジー
「そうね……確かにそれは不安よね……ルイージ、どうすれば良いのかしら?」

ドクタールイージ
「そうだなぁ……キノピコって、普段は運動とかしているの?」

キノピコ
「? いえ、特には……」

ドクタールイージ
「運動はしていない、と。なるほど……それなら……」

キノピコ
「あ、あの……それって不眠症の改善に関係あるんですか?」

ドクタールイージ
「うん、身体に疲労を与えるだけで案外すんなり眠れたりするからね。日中に屋外でウォーキングとかすればより効果的なんだ」

キノピコ
「そうなんですか……でもわたし、日中はいつも仕事があって……」

ドクタールイージ
「それなら、家でストレッチとかすれば良いんじゃないかな。とにかく有酸素運動をすることが大事だよ。
 ただし、激しい運動をすると却って逆効果になっちゃうから、適度にやるようにね」

キノピコ
「わ、分かりました。今日から実践してみます」

ドクタールイージ
「あとは、できるだけストレスを溜め込んだり不安を抱え込んだりしないようにね。
 どうしても不安になるなら、ストレスを発散できることをしていけば良いんじゃないかな」

キノピコ
「ストレスの発散ですか……」

ナースデイジー
「あ、こういうのはどうかしら? 気に入らない上司や同僚とかの写真を貼り付けたサンドバッグに恨み言を言いながら殴るの」

キノピコ
「物騒な発散法ですね!?」

ドクタールイージ
「でも、実は結構効率の良い方法だったりするんだよね……サンドバッグ打ちも有酸素運動だし」

ナースデイジー
「あら、だったら一石二鳥じゃない! キノピコ、ストレッチじゃなくてこっちにすれば?」

キノピコ
「け、検討します……」

ドクタールイージ
「……気が引けるんなら無理にやらなくても良いんだよ? 自分に合ったやり方でやるのが一番だからさ……」

 

 

 

 

 

キノピコ
「ルイージさん、デイジー姫、相談に乗ってくれてありがとうございました! レースまでに改善できるように頑張ります!」

ナースデイジー
「頑張ってね! わたし、応援しているから!」

ドクタールイージ
「また何かあったらいつでも来てよ」

キノピコ
「はい!」←退室

ドクタールイージ
「ふぅ……初めての診察だから緊張しちゃったよ……」

ナースデイジー
「そう? わたしは楽しかったけれど」

ドクタールイージ
「……この先、上手くやっていけるかなぁ……」

ナースデイジー
「?」

 

 

 

 

 

THE END……?



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